Christmas  Color






「ねぇ、さっきから口笛吹いてるけど、何の曲?」
「『犬のおまわりさん』だよ。今の君の状況そのままの歌だろ?」
「なっ‥‥そうだけど‥‥泣いてなんかないかもっ」
「でも僕と偶然あそこで会ってなかったら、そうなってたかもね」



「サトシ達、どこにいるのかなー‥‥」
「それが分からないから、こうやって歩いてるんじゃないか。君がどうやってこんな街はずれまで来たか知らないけど、街の中心の広場に行けば彼らと合流できると思うよ。今は大きくて目立つクリスマスツリーもあるしね」
「クリスマスツリーかぁ…そういえばもうそろそろだね。ここのお店も、クリスマス一色って感じかも。あっちこっちにサンタさんとかいるし」



――まあ。綺麗なクリスマスカラーね。
――本当ね。この時期にピッタリだわ。示し合わせたのかしら。



「しかし君は何をしていたんだい?彼らとはぐれてしまうなんて」
「えっと‥‥お店とかいろいろ見てて、キレイだなって思ったガラスの置物に見とれてたら、そのままはぐれちゃったみたいで‥‥」
「‥‥君は何かとはぐれてしまうことが多いね。もう少し周りを見たほうがいいよ‥‥」
「あ!ね、シュウ、あそこのお店のスノーマン見て!とってもカワイイかも!」
「‥‥聞いてない‥‥」



――お、見事にクリスマスカラーだな。ここのクリスマスムードに溶け込んでるぜ。
――ホントだー。ねー、アタシ達もあーいう風にしたら良かったんじゃない?アンタは緑のマフラーでー、アタシは赤い手袋とかー。
――そうだな‥‥。クリスマスのデートはそれにするか?
――サンセーイ!!





「だいぶ歩いたね…。まだ着かないの?」
「道は間違ってないし、広場のツリーも確実に近づいてる。もう少しだよ」
「それにしても、お店の飾り付けがさっきより派手かも」
「街の中心に近づいてるわけだしね‥‥。クリスマスも近いから、店のほうも必死なんだろうね」
「ふーん‥‥」



――おい見ろよあれ! ――うわークリスマスカラー!すげー!
――緑のほうがもーちょっと濃かったらカンペキだな。
――あの2人、デート中なのかな?
――時期ちょっと早いけど‥‥そうかもな!



「‥‥‥‥」
「どしたの、シュウ?何かあった?」
「いや、別に‥‥」
「ふーん‥‥。さっきより人が多くなってきたね。もうすぐ広場なのかも」
(‥‥‥さっきから人々の視線を感じる…見られている。僕らが何かしただろうか‥‥)
「ここまで結構歩いてきたけど、ホントにクリスマス一色だったかも。クリスマスカラーも、ちょっと見飽きちゃったね」
「クリスマスカラー‥‥‥‥」
「‥‥何?そんなにジロジロ見ないでよ。それとも服に何か付いてる?」
「‥‥いや、何も」
「何よ。難しいカオしたり、いきなり笑ったり‥‥今日のシュウ、ちょっと変かも」
「そんなことはないよ」
(そうか‥‥クリスマスカラー。僕の髪とハルカの服・バンダナで、クリスマスカラーなのか‥‥。今まで気づかなかったな‥‥」



――あらぁ、お似合いのカップルね。
――この街を歩くのにぴったりだわ。



「あ!このあたり、見覚えがあるかも‥‥。やっぱり!このガラスの置物!あのお店だわ‥‥じゃあ広場はすぐそこね!」
「‥‥ハルカ」
「ん?何?」
「僕は好きだな、クリスマスカラー。君は?」
「‥‥いきなり何よ‥‥別に、嫌いじゃないかも。緑と赤の組み合わせってキレイだし」
「そう。‥‥‥気づいてないみたいだね‥‥」
「え?何か言った?小さくて聞こえなかったんだけど」
「いや、何もないよ。さあ、広場は目の前だよ」
「うん!シュウ、ここまでついてきてくれて、ありがと!」
「どういたしまして。今度からは気をつけなよ、迷子の子猫ちゃん?」
「‥‥‥最後まで嫌味かも‥‥//」





- END -





あとがき

クリスマスシーズンは心臓に悪いです。
デパートとかに行ったら、どこもかしこもシュウハルカラー‥‥もとい、クリスマスカラーで彩られてますからね。
で、そのことにシュウが気づいたらどーなるかな‥‥と思って書いたのがこれです。
同じ状況下にあって、
「気づいてるけど思わせぶりなコトだけ言うシュウ&何も気づかないハルカ」
っていうのが好きです。
無自覚っていうのは素晴らしいですね、いろんな意味で。
‥‥どうでもいいけど、シュウはあんな台詞言うのかなぁ‥‥。「子猫ちゃん」て、ねぇ。
(自分で言わせといて何を言う)


初出 2006.12.6.







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